災害後の被災者はどのような
“住居形態”に移り変わるのか?

災害発生後、経済的な理由から“持家”ではなく“賃貸”居住者層が増加すると考えられていますが、実際にはその逆の傾向が見受けられます。
 
災害発生前後の住居形態の変化を見てみると、発災時に【持家(戸建・集合住宅共)】だった人は、約9割が同じ住居形態を継続していました。一方、【賃貸住宅】だった人の場合は、19.2%が戸建に、18.1%が集合住宅の【持家】に移転しています。
 
持家化する理由は様々なことが考えられます。復興土地区画整理事業などにより、多くの戸建・分譲マンションなどが建設・供給されたこと、すまいの再建に関する施策による資金面の支援により、持家の需要の掘り起こしが行われ、賃貸層であった若年層などが持家を購入するようになったことなどがその大きな要因となっています。
また、戸建への移転の方がより多かった背景には、震災時に集合住宅に関する問題がクローズアップされたことも一因だと考えられます。集合住宅の解体は、民法の規定により、全員合意の賛同を得ないといけません。建替えか、補修か、解体か。それぞれの家庭の事情も異なる中で、住民全員の意向を調整していくのは困難なことです。戸建への憧れだけでなく、こうした合意形成に対する抵抗感が、「戸建へ移転する」要因のひとつになったのではないかと考えられます。

POINT

  • 災害発生時、賃貸住宅だった被災者は、その後「持家化」する傾向がある

Data.08

[住居形態の移り変わり]