企業の年商や売上の増減は、
どのような理由で変化するのか?

被災地の経済活動は、さまざまな業種に大きな影響を及ぼす一方で、いわゆる「震災特需」という現象も発生します。これは、復旧工事が一斉に発生することによって、ゼネコンや建設業者の需要が急激に高まる現象で、国による特別予算も組まれるため、被災地外の景気に関わらず一時的に景気は“上向き傾向"となります。しかし当然のことながら、時間が経つにつれて被災地内も国内全体の景気の影響を確実に受けていきます。
 
阪神・淡路大震災後、年商・売上が実際どのように変化したのかを、「震災直後(1995〜96年)」と「震災3年目以降(97〜2003年)」で調査したところ、年商や売上は、「震災直後」よりも「震災後3年目以降」の方が売上減少の傾向にありました。後者は、全国的な景気低迷に見舞われた時期で、なかでも【商工自営業】が震災と不況の影響を最も受けています。「震災3年目以降」に至っては、商工自営業の約9割について年商が減少するという厳しい事態でした。
 
また、それぞれの時期での年商・売上の減少理由を調べたところ、「震災直後」は【日本全体の不況の影響を受けた】が約6割でしたが、「震災3年目以降」は約8割へと増加しました。
一方で、年商・売上の増加理由については、「震災直後」は【震災による需要増】が約9割を占めていましたが、「震災3年目以降」は【営業努力】が約6割となり、「震災特需」は2年で終わっていた実態が見てとれます。

POINT

  • 被災地企業の年商・売上は、震災特需により一時的に上向きになるが、
    時間が経つにつれて国内全体の景気の影響を受ける。
    なかでも、【商工自営業】が最も影響を受ける
  • 震災特需は約2年で終了したが、
    それ以降は【営業努力】により回復する可能性がある

Data.17

[年商・売上の変化]
[年商・売上の増減理由]