災害時の“市民意識”は、
どのように変化するのか?

平穏な日常生活を送っている際には、「行政とのかかわり」に関して、その頻度も含めて「市民意識」のような自覚を抱く機会はそれほど多くありません。しかし、災害時においては、充実した行政サービスが提供されなくなるため、今まで意識されることのなかったさまざまな感情や価値観等が浮き彫りになり、市民意識にも変化が起こり始めます。タイプ別に分類すると、“自律と連帯”を軸に、大きく4つに分けることが可能です。
 
災害時において最も特徴的なのは、【自律・連帯】タイプです。それは、「困りごとはみんなで解決」「苦労は役に立つ試練」など、自律性と連帯性が共に高いのが特徴で、60代以上の男性で最も多い傾向にありました。これは、「災害ユートピア期(フェーズ2)」と呼ばれる、助け合いを余儀なくされるような過酷な環境下に置かれることによって、通常よりも強い「市民意識」が醸成されることが要因だと考えられています。
 
2つ目は、「困りごとは誰かが解決してくれる」「近所の人に自分から話しかけたりしない」など、あらゆることにおいて【他人(ひと)まかせ】タイプで、自律性と連帯性が共に低い層となります。
3つ目は、自律性はあるけれど、連帯性は低い【身勝手】タイプ。「うそも方便は許される」「自分のしたいことが一番」などに回答する傾向があります。
4つ目は、自律性は低いけれど、連帯性は高い【集団主義】タイプ。「方便でもうそはいや」「いつでも子どもに誇れる」「してほしくないことはしない」など、【身勝手】タイプとは対照的です。

POINT

  • 被災地の“自律と連帯”に基づく市民意識は、【自律・連帯】
    【他人(ひと)まかせ】【身勝手】【集団主義】の4つのタイプに分類される
  • 最も市民性の高い【自律・連帯】には、60代以上の男性が多く属する

Data.19

[災害時の市民意識(等質性分析図)]